提案依頼書はシステム開発を外注する際に外部ベンダーに対して仕様を示す文書です。外部ベンダーから良い提案をいただくためにどのような項目を記載すればよいのかについて考えてみたいと思います。
提案依頼書に書く項目
提案依頼書には概ね下記の内容を記載しておくとよいです。それぞれの項目の深さや粒度は開発したいシステムの規模によって変わってきますが、項目としては下記をおさえておくとよいと思います。
- 開発の背景
- 開発の目的
- 期待していること
- 提案依頼の範囲
- 現状システムの構成
- 業務要件
- 現状の課題
- 非機能要件
- スケジュール
- 体制
- 提案手続き
- 前提条件
開発の背景
なぜシステム開発に至ったのか、その経緯を書きます。システム開発のきっかけには、システムの老朽化や保守体制の強化、システム部門の体制強化、中期経営計画実現のため、などさまざまな理由が考えられます。外部ベンダーは開発経緯を知ることでより的を射た提案を書くことが可能になります。
開発の目的
システム開発の目的(ねらい)を書きます。システム開発を通じて何を成し遂げたいのか、具体的に描写します。
たとえばシステムの老朽化を背景とするならば、次の5年間は少なくとも保守可能な製品を選択したい、あるいは現在主流のプログラミング言語で追加開発が可能なシステムとしたい、などです。
期待していること
開発を通じて外部ベンダーに期待していることを率直に書きます。
システムの品質が高いことは当然ですが、それ以外にコストをあまりかけたくないのでなるべく標準機能を提案してほしい、や、システム部門の育成を兼ねているので技術的な教育をたくさんしてほしい、会議はリモート中心ですすめてほしい、など事務周りも含めた期待や要望を書きます。
提案依頼の範囲
提案をお願いしたい範囲を明確に示します。図解して範囲を示せるとよいです。たとえば生産管理システムを提案依頼する際に、会計システムは既存のまま(提案依頼の範囲外)とする、などです。どこまでを依頼範囲とするかを示すことで、提案の精度をあげてもらうことができます。
現状システムの構成
提案依頼の対象システムを含め、接続連携のあるシステムとないシステム含めた周辺システムの構成を書きます。システム構成図のようなかたちで図示できるとよいです。
これによってインターフェースが必要なシステムを把握でき、また接続連携がないシステムであっても新しいアイディアなどをもたらしてもらえる場合がありますので有益です。
業務要件
システムを通じて成し遂げたい仕事について書きます。記述の粒度はシステム規模によりますが、ミニマムであれば箇条書きでも良いかと思います。どのような仕事を達成するためのシステムであるかは、外部ベンダーの提案に大きな影響を与えます。
現状の課題
現状のシステムあるいは業務上の課題を書きます。特に今回のシステムで解決したい課題であれば印をつけておくと、外部ベンダーから良い提案を得られやすくなります。
非機能要件
業務以外の要件、非機能要件について書きます。システムを稼働させたい時間帯や認証方法、マスタの連携方法、データセンターの要件、ネットワークの要件、保守の要件などについて要求事項を書いておきます。
スケジュール
希望するスケジュールを書きます。システムの稼働開始について希望時期を明記します。また、プロジェクト開始までの社内タスクなども記載しておくと、実際の開始時点で揃っている情報を把握できるので有効です。
なおスケジュールは外部ベンダーの工程や工数に依存しますので、必ずしも実現できるとは限りません。むしろ希望納期に無理やり合わせずに双方の実現可能な時期を探るのが建設できです。
体制
現時点決まっている範囲で開発プロジェクトの体制を書きます。責任者や窓口担当者、ヒアリングメンバーなどが決まっている場合は書きます。
提案手続き
提案依頼のスケジュール、提出してほしい文書の種類、連絡先などを書きます。また、提案依頼書を送付したあとの段取りについても書きます。書類審査や面談など、時期や頻度もかいておくと相手のためになります。
前提条件
提案の前提となる条件があれば書きます。たとえば見積もりの条件です。想定されるユーザー数やマスタデータの件数、画像や動画があればそれらの容量、端末の種類や数などを書きます。
また契約条件があれば書きます。契約の種類、瑕疵担保責任の期間、著作権の帰属などです。
まとめ
以上、提案依頼書(RFP)に書く項目について書きました。記載の粒度はシステムによって増減ありますが、上記項目について触れておくと外部ベンダーから良い提案をいただけるのではないかと思います。