本記事では、社内向けおよび社外向けのシステムを開発する際のプロジェクトを想定しています。社内向けは主にERPやCRMなど、社外は各社事業の顧客向けシステムを想定。
新規で”システム開発のプロジェクト”を立ち上げる際、プロジェクト計画として目的を考え、定義されていることと思います。しかし、定義された目的が「プロジェクトの目的」なのか「システムの目的」なのか、曖昧もしくは区別されずに決められていることが見受けられます。
そこで、システム開発プロジェクトにおける、プロジェクトの目的とシステムの目的の違いについて考えてみましょう。
何が違うのか
プロジェクトの目的は、なぜプロジェクトを立ち上げたか?の問いに対する回答。
一方で、システムの目的は、なぜシステムが必要なのか?の問いに対する回答。
2つの目的が一致する場合もあれば、まったく異なる場合もある。それぞれを詳しくみていきましょう。
プロジェクトの目的の事例
プロジェクトの目的とは、なぜプロジェクトを立ち上げたか。
プロジェクト計画においては、プロジェクトを立ち上げる動機(背景)が非常に重要となります。理由もなく、予算を投入してプロジェクトを計画することはなく、またシステムを開発することはありません。
では、プロジェクトを立ち上げる動機の一例をみてみましょう。
- 中長期計画を達成したい
- 新しい収益の軸をつくりたい
- プロジェクトを通じて開発者のスキルを向上させたい
- 基幹業務の標準モデルを作りたい
- 顧客に依頼された
社外向けのシステムであれば顧客から得られる収益を狙った目的が、社内向けのシステムであれば社員の作業を改善する目的が明記されることが多い。
上記を個社それぞれの言葉で明文化したものが、プロジェクトの目的になります。
システムの目的の事例
一方、システムの目的はなぜシステムが必要なのか。
社外向けの、収益をあげるためのシステムであれば、収益の対価としてのユーザーの価値が入ります。
たとえば、つぎのような目的があげられるでしょう。
- 顧客の顧客管理業務を効率化させるため
- 顧客のコールセンター業務を自動化させるため
- 社内の生産管理業務をシステムで一元管理するため
- 経理の請求業務を効率化するため
システムの目的には、対象ユーザーの課題解決が明文化されます。社外向けシステムであれば顧客が抱える課題の解決が、社内向けのシステムであれば社員が抱える課題の解決が記載されます。
システムが存在することで誰のどのような課題が解決されるのか。それがシステムの目的です。
目的が異なるケースと同一のケース
プロジェクトの目的とシステムの目的は、異なるケースと同一のケースがあります。
異なるケースの例をあげてみます。
プロジェクトの目的は中長期計画売上達成のためであり、システムの目的は顧客のコールセンター自動化のためである
同一になるケースもあります。
プロジェクトの目的およびシステムの目的は、経理の請求業務を効率化させることである
プロジェクトごとにきっかけや狙いどころは様々。システム開発におけるプロジェクトの目的およびシステムの目的をそれぞれ明確にしたうえで、プロジェクトを立ち上げることが重要になります。
プロジェクトの目的は組織として達成したいことを、システムの目的はターゲットユーザーの課題解決を書きます。
今後プロジェクトを企画される際に参考にして頂ければ幸いです。