システム開発を外部企業に発注する際に、開発仕様を提示して提案をお願いすることがあります。この行為を提案依頼といいます。
本記事では提案依頼をすることによるメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。
提案依頼のメリット
はじめに提案依頼をすると、どのような良いことがあるのでしょうか。
- 仕様を具体化できる
- 市場の製品やサービスを詳細に知ることができる
- 妥当なコスト感がわかる
- 均一な基準で評価できる
仕様を具体化できる
提案依頼するにあたり、仕様を提示するために提案依頼書(RFP)を作成することが一般的です。
RFPを作成する過程において、開発の目的や要求仕様を議論し文書に記載することによって明確になっていきます。
開発をはじめるまえに自社としてどんなシステムを欲しているのか、何を成し遂げたいのかが、明確にできるというメリットがあります。
市場の製品やサービスを詳細に知ることができる
提案を複数社にお願いすることで、各社の製品やサービスに関する情報を集められます。提供いただく情報には、秘密保持契約を結んだ上で非公開な製品の詳細な仕様や導入事例などを知ることができます。
RFPをおこなうことで、一般向けには公開されていない情報を含めて、詳細に市場の製品やサービスを知ること可能になります。
妥当なコスト感がわかる
RFPをおこなうことで妥当なコスト感を把握できます。
まず、システムの仕様を示したうえで、外部企業から見積もりをいただくことになるため、各社からの見積もりの精度が高くなります。
さらに、複数社から見積もりを得られることで、実装の程度と費用のバランスがみえてきます。高い機能、高い品質を求めた場合と最低限の機能と品質を求めた場合の価格比較ができ、自社に合うレベルを見つけやすくなります。
均一な基準で評価できる
RFPをすることで均一な基準で製品やサービスを評価できます。
RFPに要求仕様を示すことで、外部企業は同じ情報にもとづいて提案できます。
また、外部企業の提案書に記載してもらう項目をあらかじめ提示しておくことで、返送される提案書の項目や粒度に統一感がでます。もしも提示しておかないと、A社の提案書には機能について言及されているが、B社の提案書には機能について記載が無い、といった状態になりえます。
RFPによって各社同一条件にもとづいた提案がなされますので、均一な基準で評価できるようになります。
提案依頼のデメリット
一方で提案依頼のデメリットを挙げてみます。
- 負担が大きい
負担が大きい
RFPは時間と労力の負担が大きいというメリットがあります。
デメリットはこれに尽きるかもしれません。
RFP一覧の作業を挙げてみると、
- RFPを作成する
- 提案依頼先を探す
- RFPをプレゼンする
- 問い合わせに対応する
- 提案書を確認する
- 面談する
- 選定する
- 契約する
一連の作業には相当な時間と労力が必要とされます。一方でメリットを享受することになります。
RFPの製作粒度や提案依頼先の数、面談の回数などによっては負担を調整することが可能になりますので、システムの規模に併せて事前に考えておきたいところです。
まとめ
RFPにはメリット、デメリット双方あります。
負担を軽くしつつ、メリットを享受するためには、RFPの掲載粒度をある程度抑えて、提案依頼先を多くしすぎず(たとえば3〜5社までにする)、問い合わせはメールではなくクラウドストレージ上の質問表にする、面談の回数を抑える、などの対策が考えられます。
一方でRFPが粗いと提案のブレが大きくなる、決めきれなかったときに面談の回数が増えるなどの反面もありますので注意が必要です。