システムの開発を外部企業に委託する際に書く提案依頼書(RFP)。本記事ではRFPに含めるマスタスケジュールの書き方とそのポイントについて紹介します。
RFPに書くマスタスケジュールとは
RFPに書くマスタスケジュールとは何かしら?
RFPに書くマスタスケジュールとは、委託側として想定している開発スケジュールのことです。
主要な目標時期(マイルストーン)を記載し、期待している稼働時期や各開発フェーズを示します。
あくまで委託側が「想定している」「期待している」スケジュールであるため、実現性は委託先の会社と調整のうえ決定します。
マスタスケジュールを書くメリットとデメリット
メリット
RFPにマスタスケジュールを書くことでつぎのようなメリットがあります。
- プロジェクトの見通しを立てられる
- 希望する納期を伝えられる
- 開発会社がスケジュールを調整しやすくなる
- 見積もりの精度を高められる
まずは自社でスケジュールを検討し明文化することで、プロジェクト全体の大まかな見通しを立てることができます。
そして、スケジュールを通して、外部企業に希望納期を伝えることができます。
さらに外部企業は基準となるスケジュールが存在することで、可・不可の判断がしやすくなり、結果的にスケジュール変更の調整が簡単になります。
また外部企業はスケジュールに合わせて要員計画が立てられ、見積もりの精度を高めることが可能になります。
デメリット
一方でRFPにマスタスケジュールを書くと次のようなデメリットがあるので注意が必要です。
- 無理やり納期に合わせるリスクが高まる
- 開発フェーズの遅延やコスト増のリスクが高まる
スケジュールや納期が提示されることで、外部企業はなんとしても委託元の希望を叶えようとする可能性があります。
その結果、無理やり納期をあわせた提案をしてしまうリスクが高まります。
納期をあわせに行くと、無理な要員計画や、そもそも実現性の低いプロジェクト進行を提案します。
受注を目的に強引な提案をすると、開発フェーズに入ってそのしわ寄せがきます。
そもそも実現できない開発プロジェクトが進行することで、遅延や品質の低下、納期の延期、関係性の悪化、追加コストの発生などの発生リスクが高まります。
マスタスケジュールを書くポイント
RFPにマスタスケジュールを書くときのポイントはこのような感じです。
- 主要なマイルストーンが分かるように書く
- スケジュールの粒度は粗めに書く
- なるべく図解にする
- 調整の余地がある旨を書く
主要なマイルストーンが分かるように書きます。たとえば、
- X年5月末までに要件定義を終える
- X年11月末までに開発を終える
- X+1年1月末までに受け入れテストを終える
- X+1年3月末に本番移行する
- X+1年4月から本番稼働する
といった、主要なマイルストーンが記載されると良いです。
また、RFPに書くマスタスケジュールは月単位くらいのあらめの粒度が良いです。
システムの規模にもよりますが、特に長期の開発プロジェクトは月単位くらいのほうがポイントが伝わりやすくなります。
そして、なるべく図解します。図解によってタスクの前後関係や重複の程度が分かりやすくなります。
最後に、スケジュールは調整の余地があることを伝えると良いです。
まったく余地が無い場合は別として、RFP段階でのスケジュールは委託元の一方的な都合になります。
特に開発期間におけるフェーズの分け方やマイルストーンは外部企業の意向も踏まえて調整可とします。
さらに、無理やり納期を合わせにくるリスクを減らすためにも、調整の余地があることを伝えることが重要です。
フォーマット
マスタスケジュールを書くフォーマットは、
- PowerPointやGoogleスライドのようなスライド形式
- ExcelやGoogleスプレッドシートのような表形式
などがよいでしょう。
表形式で書くときの注意点は粒度が小さくなりがちになることです。主要なマイルストーンが伝わるように、なるべく粗いスケジュールで書くと良いです。
RFP段階ではプロジェクト管理ツールなどで書いても、相手先が閲覧できなかったり、閲覧してもらうためのマスタ登録などが手間になってしまうことがあります。
そのため、スケジュールはツールなどの内部に書くのではなく、独立したファイルに書くと良いです。
サンプル
RFPのマスタスケジュールのサンプルはこのような感じです。
要件定義フェーズの開始時期や新システムの稼働時期など、主要なマイルストーンを表現してみました。
また、スケジュールの粒度はなるべく粗くし、プロジェクトの全体感が把握できるように努めています。
要件定義や開発など、外部企業との調整が必要であり、かつ調整の余地がある旨を記載しています。
まとめ
本記事ではRFPに記載するスケジュールの書き方について紹介しました。
RFPに記載するスケジュールとは、委託側として想定している開発スケジュールのこと。
あくまで一方的な想定であることを踏まえて、外部企業との調整ができたら良いです。
選定にあたっては、外部企業が無理に要望に合わせてしまっていないかをよく確認して、後続のフェーズにおける遅延や品質低下などのリスクに備えられればと思います。