要求定義・要件定義を学べる本のまとめ

要求定義および要件定義を学んだ際に読んだ書籍を一覧化しました。

読みやすさの観点で難易度を、記載範囲の広さと深さで網羅性をそれぞれ三段階で評価。

また、書籍が対象としている読者などについてひとことコメントを入れたので参考にしてもらえたらと思います。

ソフトウェア要求 第3版

難易度:★★★ 網羅性:★★★ 必読の一冊

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日経BP社, 700ページ, 2014/10/30
Karl Wiegers、Joy Beatty 

ソフトウェアの要求定義に関する複数の書籍を出版しているカール・ウィーガーズによる渾身の一作。700ページの大作。

第2版から10年の歳月を経て第3版まで版を重ね、内容がより充実。第20章には新しくアジャイルプロジェクトに関する記述が追加されました。

要求事項そのものの定義から、要求開発のプロセス、ワークショップの開催方法、文書化の方法そして管理プロセスまでトータル700ページと、他の書籍に類をみない内容の充実ぶり。

 「要求とは、何を実装しなければならないかという仕様である。また、システムがどう振る舞わなければならないかという記述であり、システム特性や属性の記述でもある。システムの開発プロセスに対する制約条件のこともある。」

Ian Sommerville and Peter Sawyer, 1997

本書ではソフトウェア要求は、ビジネス要求、ユーザー要求そして機能要求という3つのレベルがあるとされています。

要求定義を学習したいと考えている方にとって、必読かつ精読が必要な一冊であると言えます。

はじめよう!要件定義

難易度:★☆☆ 網羅性:★★☆ 初学者におすすめ

技術評論社, 184ページ, 2015/2/28
羽生 章洋 (著)

いきなり700ページの重厚な本はちょっと、という方におすすめの入門書籍。比較的定義の難しい用語のひとつひとつを図解で、かつ比喩をまじえながら説明されています。

要件定義の全体像をわかりやすく俯瞰的に頭にいれることができます。

本書内で、要件定義として決めるべきは3つと表現されています。

  • UI
  • 機能
  • データ

UIも要件定義に入るのか?基本設計に入るのでは?の議論がありそうですが、当書籍では要件定義のひとつとして記載されています。

UIを要件定義で決めるのは賛成。なぜなら、UIを見ながら要件を決めることで、議論が活発になり要件を出しやすくなるから。UIの操作に対して機能を割り当てるという考え方も良いと思います。

入門書籍の位置づけで、詳細については他の書籍が推薦されています。よって要件定義を深く掘り下げるための準備としてテーマ全体をつかめます。

ソフトウェア要求ほどの網羅性はありませんが、短時間で全体像を確認したいときにおすすめの一冊。

図解即戦力 要件定義のセオリーと実践方法がこれ1冊でしっかりわかる教科書

難易度:★★☆ 網羅性:★★☆ ビジネス分析を学びたい方におすすめ

技術評論社,295 ページ, 2020/6/29
エディフィストラーニング株式会社 上村有子

ビジネス要求の観点から要件定義を学びたい方にお勧めの一冊。

ビジネス分析に精通した著者が書いた要件定義の本。事業目標や業務フロー、業務課題を分析する手法を紹介しつつ、ビジネス要求を要件に落とし込む方法が書かれています。また、ツリー図や戦略マップ、エコシステムマップ、ステークホルダーマトリクスなどの各種フレームワークを要件定義に用いる手法が解説されています。加えて、BABOKや日本の調査資料などもコラムを通じて要件定義に関する情報が掲載されています。

読者の想定はSIerなどの開発会社に所属するシステムエンジニアです。ベンダー企業のシステム開発を行う際の要件定義が題材として取り上げられています。

要件定義の基礎が理解できた後に、より上流のビジネス観点で要件定義を学習したい方におすすめの一冊です。

ずっと受けたかった要求分析の基礎研修

難易度:★☆☆ 網羅性:★★☆ 初学者におすすめ

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翔泳社,271 ページ, 2011/3/1
大森久美子  (著), 岡崎義勝  (著), 宇治則孝 (監修)

入門編の書籍をもう一冊紹介。

本書の目的は、

商用開発における要件定義のあり方(観点)を知ること

とあります。

また、本書の目標は

要求を分析し要件として定義する過程を経験することを通して、要件定義書作成の観点を知ること

要件定義書からテスト項目を抽出することを通して、要件定義書の観点を知ること

要求と要件を厳密に使い分けていることから、受託開発の活用シーンが想定されています。

要求定義のツール類が俯瞰的にとりあげられており、SI企業に就職し、はじめての受託案件にアサインされ、これから要件定義セッションに参加するような方におすすめの一冊です。

要求開発と要求管理

難易度:★★★ 網羅性:★★☆ 中級者は必読

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日経BP社、235ページ, 2006/12/9
カール・E. ウィーガーズ  (著), 宗 雅彦 (監修), Karl E. Wiegers (原著), 田沢 恵 (翻訳), 溝口 真理子 (翻訳)

初学者向けの2冊で全体像を把握できたら、カール・ウィーガーズの著書をもう一冊読んでみましょう。

本書は前著「ソフトウェア要求」を補完する内容。「ソフトウェア要求」との相互参照番号が記載。なお、こちらの本は版を重ねていないので、やや内容が古いので参考までにどうぞ。

当書籍では、要求定義のプロセス、とくに対話やドキュメントの書き方に関するアプローチに焦点が当てられています。

要求定義を学習する上で、前著と合わせて読んでおきたいです。

要求仕様の探検学

難易度:★★☆ 網羅性:★★☆ 古典的名著

共立出版, 332ページ, 1993/8/1
D.C. ゴーズ (著), G.M. ワインバーグ (著), Donald C. Gause (著), Gerald M. Weinberg (著), ヤナ川 志津子 (著)

次にワインバーグ本に挑戦。

ソフトウェア開発分野において複数の名著を出版している、ジェラルド・ワインバーグ氏による要求仕様の探求学

発見には価値がない。発見すること(探求(探検)すること)がすべてだ

という言葉にあるとおり、要件定義プロセス(本書では要求と要件は同義)における、人間的心理面に焦点を当て、要件を定義するプロセスそのものについて書かれた本。

ワインバーグらしく、ユーモアに溢れた事例をまじえながら、要件定義プロセスを学べます。

成功する要求仕様 失敗する要求仕様

難易度:★★☆ 網羅性:★☆☆ 文書化に焦点

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日経BP社, 288ページ, 2006/11/2
アラン・M・デービス (著), 萩本 順三 (監修), 安井 昌男(監修), 高嶋 優子(翻訳)

要求を仕様化する(=文書化する)ことについて焦点をあてて記載された一冊。

文書化の手法はもちろんだが、要求のトリアージ(優先順位付け)についても詳細に記載。

どのようにして要求をリリースに取り込むのか、その基準を探している人にはおすすめ。

3人乗りのシーソーにたとえて、要求とコストとスケジュールのそれぞれがバランスを取ることを基本のトリアージとしています。

また、トリアージの手法として100ドルテストや、イエス・ノー投票、5段階プライオリティ方式など、実際の要求定義の現場で活用できそうなツールが、デメリットも含めて紹介されています。

演習で身につく要件定義の実践テクニック

難易度:★☆☆ 網羅性:★★☆ ITコンサル向け

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日経BP社, 160ページ, 2017/11/17
水田 哲郎 (著)

タイトルにあるとおり、事例をベースに要件定義のテクニックを学べる一冊を紹介。

個人的な読後の印象としては、技術的な要件定義よりもビジネス的な要件定義についての記載が多いです。システム化方針や業務分析などが中心となっており、実装アーキテクチャやデータモデルなどの技術は詳細に掘り下げていません。

記載されている事例は基幹システムの再構築です。本事例における要件定義には、方針策定やAsIs業務フローの整理、問題抽出および分析、解決策の決定、そしてToBeシステム要件の整理が含まれる。これらのプロセスはITコンサルタントの学習者にとって有益な内容。それぞれのステップの解説およびツール類の紹介は詳細です。

また、要件定義に必要なコミュニケーションスキルの紹介については、ユーザーからのヒアリングに関するクレームを事例にあげ、質問の仕方や聞き方のテクニックが紹介されています。

これからBPRや基幹システム刷新のコンサルティングをされる方におすすめの一冊。

要求を仕様化する技術 表現する技術

難易度:★☆☆ 網羅性:★☆☆ 要求の書き方に課題感のある方へ

技術評論社, 384ページ, 改訂第2版 (2010/5/1)
清水 吉男 (著)

要求の仕様化に焦点が当てられた一冊。要求定義でよく起きる問題点の解説のほか、要求仕様の書き方について、言葉の選び方や階層化、ナンバリング、Excelへの書き起こし方など詳しく書かれています。

要求仕様の書き方に課題感のある方へおすすめの一冊。

構造化分析とシステム仕様

難易度:★★☆ 網羅性:★☆☆

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日経BP社, 397ページ, 1994/9/20
トム デマルコ (著), Tom Demarco (原著), 高梨 智弘 (翻訳), 黒田 順一郎 (翻訳)

「ピープルウェア」や「熊とワルツを」などの名著を残している、トム・デマルコによる要求に関する書籍

本書では、構造化分析とは、

データフロー・ダイアグラム(DFD)やディシジョン・ツリーなどのツール群を活用して要求仕様書を作成することをいう

とあります。

発刊が1994年(25年前)で古くなっているため、古典的名著として紹介。

残念ながら、執筆時点ではAmazonで新刊の販売が行われていません。

手戻りなしの要件定義実践マニュアル

難易度:★☆☆ 網羅性:★☆☆

日経BP社,208ページ, 増補改訂版 (2014/4/18)
水田 哲郎 (著)

本書は「演習で身につく要件定義の実践テクニック」と同じく、水田 哲郎さんによる作品。

出版社も同じであり、基本的な要件定義に対する考え方は同じ。方針策定やAsIs業務フローの整理、問題抽出および分析、解決策の決定、そしてToBeシステム要件の整理が含まれます。

日立製作所ご出身の水田さんだから、か。内容的には大型の開発案件が想定されています。顧客管理および商談管理システムを事例にとりあげ、業務分析および業務設計の進め方や委託側とのコミュニケーションのとりかた、とくにヒアリングについて相槌の打ち方含め丁寧に説明。

既存システムの改善要望という、頻繁に起きるケースについても触れられています。

要求定義のチェックポイント427

難易度:★☆☆ 網羅性:★★☆

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翔泳社, 293ページ, 2004/10/21
本園 明史 (著)

本書のタイトルに「要求定義」とあるとおり、顧客からの要求を獲得することについて書かれた一冊。

そして、要求獲得のフローとして、

  1. 要求の創造
  2. ヒアリングの準備
  3. 獲得した要求の整理
  4. 要求のレビュー
  5. 開発可否の判断
  6. 1.に戻る

と定義。

本書は比較的大きな開発案件で、委託側と受託側が明確に分かれ、受託側が委託側に適切にヒアリングをして要求を獲得することに焦点が当てられています。

大手SI会社に入社して、要件定義を任された方にはおすすめの一冊。

システム設計のセオリー

リックテレコム, 428ページ, 2016/2/26
赤 俊哉 (著)

要求定義および要件定義だけでなく、より広い技術領域を学びたい方に読んでいただきたい一冊。

要件定義(論理)をL1とし、基本設計(論理)をL2、基本設計(物理)をP1、詳細設計(物理)をP2として、4フェイズにわたって設計理論が記載されています。

成果物はなるべく少なく書き、しかし品質を上げるといった設計のアプローチを紹介。

本書は基幹業務システムもしくは情報系システムを想定されています。よって、社内のシステムを開発する情報システム部門もしくはITコンサルタントにおすすめの一冊です。

はじめての上流工程をやり抜くための本

翔泳社, 278ページ, 2008/3/4
三輪 一郎 (著)

ユースケース駆動開発実践ガイド

翔泳社, 512ページ,  2007/10/17
ダグ・ローゼンバーグ (著), Doug Rosenberg (著), 三河 淳一 (著), 船木 健児 (著), 佐藤 竜一 (翻訳)

かんたんUML入門

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技術評論社,496ページ, 改訂2版 (2017/7/1)
竹政 昭利 (著), 林田 幸司 (著), 大西 洋平 (著), 三村 次朗 (著), 藤本 陽啓 (著), 伊藤 宏幸 (著)