システム開発を外部に委託する際に書く業務要求について掘り下げてみたいと思います。
そもそも業務要求とはなんだろうか?から業務要求のサンプルまで。これから提案依頼書を書くという方に見てもらえたら幸いです。
業務要求ってなんだろう?
はじめに業務要求とはなんであるかを定義してみます。
業務要求を噛み砕いて表現すると「仕事でやるべきこと」です。
機能仕様とごちゃごちゃになりがちですが、必ずしも何らかのシステムを使うとは限りません。
仕事全般についてやるべきことが対象になります。
たとえば、「見積もりを取る」「生産計画を立てる」「メールを確認する」「会議を準備する」など、日々の業務を振り返れば無数に仕事を挙げられると思います。これら仕事の中で開発依頼の対象システムに関連する業務をRFPに表現できると良いです。
また、対象の仕事はより詳細に表現できると良いです。たとえば購買部における「見積もりを取る」であれば、
- 現場部門から見積もり依頼書を受領する
- 見積もり依頼書の内容を確認する
- 見積もり依頼先の候補を抽出する
- 見積もり依頼の承認を上司から得る
- 仕入先に見積もりを依頼する
- 仕入先からの問い合わせに対応する
- 見積書を受領する
- 見積もり結果を現場部門に連絡する
といったように仕事を細分化できます。なお業務要求では、仕事でなすべきことに使うシステムやその操作方法などは書きません。業務要求では仕事を抽象化しています。
業務要求にはこの「抽象化」が重要なのです。
購買部門は「見積り依頼書を受領」してから見積もり取得業務を開始します。なので見積依頼書を受領する仕事は必須です。一方で「どうやって」受領するかはたくさんの選択肢、すなわち提案の余地があるということです。FAXで受信する、電子メールで受領する、ワークフローシステムで受領する、Slackなどのメッセージツールで受領する、その他見積もりシステムで取得する、など。
電子メールを受信するのが仕事なのではなく、見積もり依頼書を受領することが成し遂げる仕事です(成し遂げるという言葉がやや大げさに聞こえますが。。。)
仕事を抽象化して書くことにより、本来なすべき仕事を簡潔に表現することが業務要求です。
業務要求に書くこと
では業務要求に書くことを挙げてみます。
- 行動主体「誰が」
- 行動内容「すること」
は必須で書きたい内容です。主語と述語です。
あとは補足として、
- 業務分類(大中小など)
- 行動相手「誰に」
- 頻度(発生の都度、毎日、毎週、年1回など)
- 例外事項(見積もり依頼書の貼付忘れの場合など)
- その他補足事項
を表現できると良いです。
フォーマット
業務要件を記載するフォーマットの選択肢としては、
- 表形式(Excelなど)
- 業務フロー図形式(PowerPointなど)
- 文章形式(Wordなど)
があります。記載事項がおなじであればどのフォーマットが最適というのではなく、書きやすいツールで良いかと思います。文字優位や図優位など、書き手の特性に併せて選択するのが良いでしょう。
サンプル
業務要求の書き方についてサンプルをつくってみました。
下記は購買部の「見積もりを取る」業務について表形式にまとめたものです。列は左から、
- 業務大分類番号
- 業務大分類
- 業務中分類番号
- 業務中分類
- 業務要求
- 頻度
- 例外
- 補足事項
という構成です。各業務要求は可能な限り短い文章で意味が伝わるように書いています。
まとめ
業務要求は仕事でなすべきことを表現します。具体的な使用システムや操作方法などを抽象化し、本来なすべき仕事に絞って文章に起こしていきます。抽象化によって、仕事の本質を表面化させ、これから開発するシステムで達成する要求を明らかにできます。