提案依頼

提案依頼の範囲を書く −提案依頼書(RFP)−

システム開発を外部に委託する際に書く提案依頼書(RFP)。今回はRFPにて示す提案依頼の範囲の書き方について考えてみようと思います。

提案依頼の範囲では、開発対象のシステムを示すことが目的です。提案依頼の範囲を記載することで、委託先企業の提案精度を高めてもらうことができます。たとえば対象外のシステムについて提案を受けたり、あるいは対象であるのに見積もりから漏れてしまうなどを防ぐことができます。

書き方

提案依頼の範囲はシステム構成図のような図を活用して範囲を示しつつ、文章で補足するのがわかりやすいです。

サンプルをみながら解説していきます。

システム刷新を依頼する場合

はじめに単体システムを入れ替えるケースをみます。下図は製造業において製造実行システムを刷新する例です。ちなみに製造実行システムとは、おもに工場などの生産現場で使用されるシステムで、製造指示の確認や実績の登録、入庫予定の確認や実績の登録、在庫の管理などをおこないます。

はじめのページに開発対象を色で分けた図を記載します。おもに開発対象とデータ連携されている関連システムを周辺に配置して、矢印でデータ連携の方向とおもなデータの種類を表現しています。

システムの名称、たとえばMESXXXやDWHXXXなども記載しておくと、今後の説明も含めてわかりやすくなります。

つぎに、開発対象の図を補足する文章を書きます。

項番2の文章では、提案の有無を委託先企業に委ねることを伝えています。提案の余地があるシステムについては補足をいれておきます。

項番3の文章では、既存の他システムには提案の余地がないことを明確に書いています。

項番5のとおり、現行システムのスクラッチ OR パッケージ名、メーカー、導入時期などの概要を別ページに記載しておくと委託先企業がデータ連携のイメージが湧きやすいのでおすすめです。

既存システムの刷新においては、連携対象となる周辺システムを明示しました。必須で開発する範囲、開発しない範囲そして任意で開発する範囲を図と文章で表現できるとよいでしょう。

既存システムの機能追加を依頼する場合

既存システムに機能を追加する際のサンプルをみてみます。既存でSaaSサービスをユーザー向けに提供しており、新たにユーザー向けのWeb画面を製作したいケースです。

はじめのページに開発対象を色で分けた図を記載します。サービスを大きな四角で囲い、その中に既存機能(画面)、新規機能(画面)そして接続さきのバックエンドサービスを書いています。

またサービスの外にアクター(システム利用者)を書いています。

つぎに、開発対象の図を補足する文章を書きます。

項番2の文章では、接続先のバックエンドサービスが存在することを前提条件として書いています。

項番4の文章では、既存機能には提案の余地がないことを明確に書いています。

既存機能の追加ではひとつのシステムを拡大して機能単位で表現しました。既存機能と新規機能が明確にわかるようにしています。また、接続先の他サービス、たとえばバックエンドサービスや他システムがあれば記載しておくと委託先企業が開発のイメージが湧きやすいのでおすすめです。

まとめ

本記事では提案依頼書の開発範囲の書き方についてみてきました。一見自社からすると当たり前のように思える開発の範囲なのですが、外部から見るとわかりにくいものです。図と文章を使って簡潔に説明できると良いでしょう。

単体システムの開発か機能追加か、などシステムの状況は対象システムによって違いがあると思いますので、図の解像度は上記の例のように変化させてみるとよいのではないかと思います。