日記

アプリ開発法人の解散を決めました

悔しい。

本当に悔しい。

仕事(作業)はしていたけれど結果的に事業として確立できませんでした。

2021年に創業したアプリ開発のための法人を解散することに決めました。

自分なら事業化できる、なんとかする、価値を生み出せる、課題を解決できる、と思って創業した法人。開始地点の想い入れはそれなりにあったと思います。

でもね。

その二年後には解散を決めるわけです。

この記事では事業化できなかった原因と思われるものを書き記し、自分の後学に役立てたいと思った次第です。

製品から考えてしまった

「サービスは製品からではなく課題から考えよう」

マーケティングや新規事業の界隈では声高に言われるこのひとこと。

分かってはいた、つもりなんです。

でもつもりでした。

振り返ってみれば、課題から考えているつもりでも、製品のイメージが先行してそこに課題をあてはめようとしていたのだと思います。

こんなアプリをつくったら→こんなひとたちのこんな課題を解決できる、のではないか。

という順序で仮説を立てました。

結果的にこれではうまくいきません。

こんな人たちがこんな課題で困ってた→こんなアプリをつくったら、の順番でなければならなかったのでしょう。

課題の部分は自分が実際に見て、聞いて、共感したものである必要がありました。

僕がやったのは課題があるはず、という妄想です。

誰かひとりでもいいから困っているひとを実際に見るべきでした。

製品から考えて課題を後から紐付ける、プロダクトアウトの思考はやはり自己満足の世界になってしまい、結局課題はなかったことが分かったときには何も残りません。

収益獲得の道筋がみえなかった

「どこから仕入れてどこに売るのか」

事業の基本形ですよね。

ほんっとに恥ずかしい話ですが明確に答えられなかったんです。

広告収益があがる、はず。

制作料をもらえる、はず。

法人向けに展開できる、はず。

広告収益はとても事業を継続できるような金額には至らず、制作者から制作料をいただくこともできませんでした。

つくっていたアプリは著作権者と個人をマッチングするもので、この場合の制作者は著作権者にあたります。著作権者への依頼はこちらからしているわけですから、先方からすれば制作料を払うどころか、ライセンス料をもらうのが自然な流れになります。

よって制作料をいただくことはできませんでした。

また、もともと個人向けにつくっていたアプリですから、どうやって法人のニーズにあわせされるか、まったくイメージができませんでした。

そうこうしているうちに二年間が経過し、法人向けの展開にもいたらず解散に至るわけです。

小さくはじめなかった

「事業は小さくはじめて少しずつ大きくする」

新規事業ではよく言われることです。

小さくとはどこまで小さければ良いのかはおそらく事業によって変わってくるのだと思います。

自分の場合は法人化してから開発を始めていたことが、すでに大きく始めていたのだと思います。

法人化する→アプリを開発する→売れる、はず。

でした。

もっと最小単位でいくならば個人ではじめることでしょう。

法人をつくると設立費用やら管理する手間やらが発生します。

一方で個人では対法人の仕事をするときに契約しづらいなどの問題があるのかもしれません。だから法人化したわけです。

ただし自分の場合は個人向けのアプリですから、個人でつくって個人向けに売ればよかったのかもしれません。

箱をつくってから中身を入れる方法は結果的にうまくいきませんでした。

中身をつくって世の中に受け入れられてから箱をつくるやりかたが良かったのだと思います。

小さくはじめる、というのは自分が想像するよりも1/10くらい小さいものなのかもしれません。

アプリ開発は楽しい

「開発をすることと事業にすることは異なる」

んですね、結局のところ。

事業にするならば自分は全体のコーディネートを担って、開発は他のひとにお願いするという選択もあったかもしれません。ただし給料や委託費用を払えるほどの創業資金がなかったですし、VC(ベンチャーキャピタル)から出資をお願いするほど大きくしたくはなかったという経緯もあります。

開発自体が楽しく、いつのまにかつくることが目的になってしまい、事業との区別がしづらくなっていたのだと思います。

開発が楽しいこと自体は悪くなかったと思います。

ただしそのスタイルは法人化しておこなう事業としては合っていなかっただと思います。

これからどうするのか

解散にいたる原因の振り返りから学べるのは、

  • 課題は顕在化したものを扱う
  • 収益は枯れたモデルであげる
  • 個人で開発する
  • 事業を学ぶ

です。

課題は自分の身の回りで実際に起きていたものか、世の中に広く認識されているものにすべきだと思いました。

そして収益はいきなり新しいお金の生み出し方を考えるのではなく、既存の収益モデル、流通や広告、受益者と支払者を明らかにして、何を売ってその対価を誰からもらうのか。これが成立しないものをいきなり作り始めないほうが良いのではないかと思いました。

法人化ありきではなく、個人でつくったものがたまたまヒットしたから法人化する、というくらいのトーンのほうがスモールスタートとしては合っているのだと思います。

そして事業を事例から学ぶのも良いと思いました。今回の失敗を機に会社四季報を買ってみて、頭から3600社分の事業内容を読み込んでいます。世の中にはまだまだ自分のしらない事業をしている会社があるものだと気づきました。これらの事例を見ながら、自分に適用できそうなモデルを想像することには意味があるのではないかと思っています。

ということで解散にいたった原因と今後の自分の行動に関するまとめです。

どなたかのお役に立つかは分かりませんが、とりあえず備忘までです。