システム開発を発注する際に書く提案依頼書の開発の目的について掘り下げてみようと思います。
開発の目的を書く理由
提案依頼書に開発の目的を書く理由は開発で成し遂げたいことを表明するためです。
企業活動の大きな目的には、売上を上げる、コストを削減する、があります。システム開発の目的としてはまだ粗いので、さらに一段か二段を掘り下げて目的化することが多いのではないかと思います。
- 新規事業となるSaaSサービスとして3年後に新たな収益の柱とする(売上↑)
- BPOサービスのために開発してきたシステムを単独で販売できるよう開発する(売上↑)
- 営業情報を共有することで受注率を高める(売上↑)
- 生産管理業務を標準化・効率化して生産コストを削減する(コスト↓)
など。
もちろん売上やコストに直接結びつかないシステムもあるかと思いますが、とにかく何らかの狙いをもってシステムを開発します(したほうがよいです)。
委託先企業においては、開発の目的を読むことで、開発の意図を理解し、必要な仕様やユーザー体験、デザイン、インフラなどを企画することが可能になります。
どのように書くか
では開発の目的はどのように書けばよいのでしょうか。
開発の意図、狙いを簡潔に表現するのが良いです。システムを活用して成し遂げたいイメージを文章に書きます。また、目的に手段はたくさん書かないほうが読み手が理解しやすくなります。
たとえば、生産管理業務を標準化・効率化して生産コストを削減する、という目的をたてたときに、
- 工場の在庫をリアルタイムに把握できる
- トラックの受付業務を自動化する
- 計量器と連携して計測値を自動取得する
- 生産実績を製造実行システムから毎晩連携する
のような手段を書きくわえることは控えておいたほうがよいかもしれません。
あくまで成し遂げたい方向性を簡潔に表現したほうが分かりやすいということと、手段(実装する仕様)に関しては委託先企業からのアイディアもあるため、限定しておかなくても良いです。
開発の目的のサンプル
開発の目的についていくつかサンプルを書いてみます。
ひとつめは業務受託(BPO)で使用しているシステムを作り変え、外販をねらうケースです。
ふたつめは生産管理システムをつくりかえ、間接工数を削減したいケースです。
3つ目は生産管理システムの周辺で稼働しているEUC(End User Computing)をシステム化して間接工数やリスクを削減したいケースです。
まとめ
ここまで開発の目的について書いてみました。
開発の目的には、開発の意図やねらいを簡潔に表現できることを目指したいです。達成基準はなるべく数値で表現できると良いです。ただし、間接工数については現状の工数が取得するのに時間が必要な場合もあります。たとえばExcelの転記にかかる時間が実際にどれくらいかかっているのかが不明な場合など。このときは時間計測と集計に時間をかけ、事後の時間を計測する必要があります。
なお、間接工数の削減のみを目標にしてしまうと、意外とコスト換算したときに大きな金額に至らず、投資を回収するのにとてつもない時間がかかる場合もあります。その場合は間接工数の削減よりも高い視座で解決したい課題を探してみるのも一手です。