提案依頼書の開発の背景について、書き方を考えてみたいと思います。
開発の背景とはなにか
開発の背景は、システムを開発することになったきっかけ、経緯、理由について書きます。
委託先企業は開発の背景、すなわち開発のストーリーを把握することで、
- 開発で重視すべきことが絞りやすくなる
- 提案のねらいを定めやすくなる
- さらなる付加価値をもたらす周辺の提案をしやすくなる
といった効果があります。
老朽化したシステムであればなるべく最新の製品ミックスを、新規事業であればなるべく早く立ち上げられる製品を、オープン化であればなるべく標準・汎用型の製品を、といったように開発のきっかけとなった事象をもとに提案する製品を変え、背景に沿った提案をしやすくなります。
また、情報システム部門の技術刷新(最新化)であれば教育メニューを、データ分析の体制構築であれば分析モデルの作成や業務プロセス提案など、コアシステムに加えた周辺のサービスを提案しやすくなります。
開発の背景に込めたいポイント
開発の背景には下記のポイントを含めると良いのではないかと思います。★は必須で書いたほうがよく、その他は任意で書いておくと良いでしょう。
- ★開発のきっかけ
- ★きっかけから発注までの経緯
- 内部環境
- 外部環境
開発のきっかけ
開発のきっかけはシステム開発を検討することになった、はじめのはじめ。開発にはなんらかのトリガーがあって検討がはじまり、検討が進んだところで社内決裁をとり、正式に外部に発注するに至る、ことが多いのではないかと思います。
開発の背景には「トリガー」を書いておくと良いです。
きっかけから発注までの経緯
トリガーをもとにして、社内で検討された経緯を簡潔にまとめて書いておきます。なんらかの経緯があって外部に発注するに至った、その過程を整理します。たとえば内製しない理由や市場の汎用製品へのこだわり、社内の体制や新しいアイディア、他社の事例など外部に期待することなどが議論されることが多く、外部へ発注するに至る議論の内容を書きます。
内部環境
内部環境は必須ではないまでも検討の経緯と併せて書いておくのが望ましいです。なぜならば内部環境は非公開情報が多く客観的な分析が難しいためです。秘密保持契約を結んだうえで、自社の製品や業務、体制、技術など、自身でコントロール可能な内部環境について書きます。
外部環境
外部環境はあれば良い(委託先企業でも客観情報で分析は可能)というレベルです。当社をとりまく市場の動向、競合の動向、法律や技術の変化、社会性の変化、などを書きます。
なお、外部環境の分析方法で主要なものには、
- PEST分析
- 5 Force分析
などがあり、フレームワークにそって情報を整理するのも有効です。
開発の背景サンプル
いくつかのケースを想定して、開発の背景サンプルを3つ紹介します。
ケース1:生産管理システムの老朽化
たとえば社内システムであれば次のようなきっかけがあります。
ケース2:オープン化
ケース3:新規事業の立ち上げ
まとめ
本記事では提案依頼書(RFP)に記載する、開発の背景についてみてきました。
RFPでは冒頭に位置することが多く、システム開発に至った経緯を簡易なストーリーとして書くことで、文脈のなかで開発の位置付けを把握してもらうことができます。
開発の背景に込めるポイントとサンプルが皆様のライティングの一助になれば幸いです。