外部にシステム開発を依頼する際に書く提案依頼書(RFP)。本記事では現状の課題の書き方について考えてみたいと思います。
課題とはなんだろう
はじめに課題という言葉を定義しておきます。
課題は”課す(課せられた)題” ですから「なすべき仕事」という定義になるかと思います。では、なすべき仕事というと、日常の業務もなすべき仕事ですよね。日常の業務と課題は何が違うのでしょう。
それは課題には期限があること。
システム開発というプロジェクトを通して、または当該システムを活用することによって、特定の時期までになすべき仕事を課題と呼ぶのが適切です。
よく言われる問題と課題の違いにも少し触れておきます。
例えば「在庫がない」は問題で「在庫切れを起こさない」が課題。在庫がないというのはあくまで状態であって、なすべき仕事ではありません。なすべき仕事は「在庫切れを起こさない」です(在庫をなくすことがなすべき仕事の場合もあるので課題は文脈によって変わります)。
なぜ課題を伝えるのか
では、なぜ課題を委託先企業に伝えるのでしょうか。
それは、委託先企業が実現方法を考え、提案してもらうためです。課題を伝えるということは、なすべき仕事を伝えるということ。なすべき仕事は具体的な手段の実行をもって実現されます。
つまり、
自社が課題を設定 → 委託先企業が手段を提示 → 自社が提示された手段を実行
によって課題が完了となるのです。いわばなすべき仕事の共同作業です。
共同作業の起点として課題を提示することが、RFPに課題を書くことの目的です。
委託先企業からすれば課題を見ることで、
- 課題の実現方法を考える
- 最適なシステムを選択する
- パートナーに協力を求める(場合によっては)
- 課題の実現方法を決める
- 実現方法を明文化する
ことが可能になります。
良い提案をもらうためにも課題の表現が必要です。
課題をどう書くか
つぎに課題をどのように表現するのか考えてみます。
課題の表現方法
課題は期限のあるなすべき仕事であるため、解決できたか否かを判断できるように書きます。よって、達成基準が明確になっていることが望ましいのです。
たとえば、
「在庫切れを起こさない」
は在庫切れが一回も発生しなければ達成といえるので良いでしょう。ただしロットの大小問わず全商品について在庫切れを起こさないような課題設定が正しくない場合は、特定の条件を加えます。
「代表製品○○について繁忙期の毎年11月-2月に在庫切れを起こさない」
達成基準に加えて、手段について言及することも可能です。
「代表製品○○について繁忙期の毎年11月-2月に在庫切れを起こさないために、1時間単位の在庫のリアルタム監視と生産計画の変更ならびに在庫の転送を実現したい」
上記文章では前半が達成基準で、後半が手段となっています。ただし、特定の画面名や操作方法などは開発システムに依存しますので、あくまで業務要件の観点で課題を書くと良いです。
課題を書くフォーマット
課題は課題一覧表として別表にするのがおすすめです。
課題一覧表に記載する情報例(通常は列の見出し)は以下のとおりです。
- 課題分類(大・中・小)
- 課題番号
- 課題タイトル
- 課題内容
- 対象部門
- 補足事項
課題分類は課題の多さや種類の豊富さに応じて変えるのが良いです。たとえば分類は一つのみ、もしくは中と小の二つなど。
課題番号は課題分類に応じてナンバリングします。課題分類がひとつであれば連番の1,2,3などを、二つであれば1-1, 1-2, 2-1,,,のように枝番を振ります。
課題タイトルは課題内容を表す題名を簡潔に短い文章で表現します。たとえば課題内容が「代表製品○○について繁忙期の毎年11月-2月に在庫切れを起こさないために、1時間単位の在庫のリアルタム監視と生産計画の変更ならびに在庫の転送を実現したい」であれば、課題タイトルは「在庫切れを起こさない仕組みづくり」のようにします。
対象部門は課題を抱えている組織が特定の部署であればその部署を記載し、全社共通のものであれば全社共通と書いておきます。プロジェクトにおいて要件定義などのヒアリング対象部門が決まります。
補足事項は課題について例外事項や特筆すべき注意事項などがあれば書きます。
なお、優先順位は書くことも可能ですが、高いものしか実現されない弊害もありますので、解決したい課題は優先順位なくすべて書いておくのが良いのではないかと思います。
また、課題一覧表に委託先企業から実現可否や実現方法について回答を頂く場合は、下記の回答欄を追加しておくと良いです。
- 実現可否
- 説明
サンプル
課題一覧表のサンプルはこちらです。
まとめ
提案依頼書に課題を書き、委託先企業と協働で解決していきます。そのためにも、自社が解決したい課題を簡潔に表現できると良いのではないかと思います。